消費税の インヴォイス化について
政府は消費税をなにがなんでも上げるつもりです。
かたや、景気優先の先生達は上げるなといってる。
複数の消費税率を適用することになると思われるのに、税の計算方法を云う方はいません。
いまさら、なのでしょうか?
とりあえず、消費税のお復習い。
今の帳簿方式は、消費税導入をしやすくするための特例を多く設け、事務を簡単にすれば納税者を説得しやすいために導入した、世界でも稀な会計制度である。
復習:消費税の基本的な仕組み
各業者と消費者の間で資産や役務等が移転し、最終的には消費者が負担することになる。
そのため課税の累積を排除するため、各業者などの納税義務者はその売上げに係る消費税ではなく、差額を納税することは前回書いた。
この仕入税額控除において、日本は、ヨーロッパ諸国のようにインヴォイス(伝票)方式をとっておらず、3万円未満の取引については、帳簿の保存でよかろうとお上は認めている。
課税の対象: 課税・非課税・免税
全ての取引は、課税対象取引と課税対象外取引とに分類される。
課税の対象は、
1)国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等、
2)外国貨物の保税地域からの引き取りである。
非課税取引は、
1)土地の売買や利子の受け取りなど消費になじまないもの、
2)医療、介護サービス、助産、教育など政策的な理由によるもの。
不課税(課税対象外)取引は、
給与、家財道具の売却、受取配当金等である。
不課税と非課税の区別は、 課税売上割合の算定計算において重要な意味を持つが、判断がややこしく、あやふやな判断に精通している印紙税担当官の仕事である。
厄介な特例措置
事業者免税点制度
前前期の課税売上高が1,000万円超であるかどうかによる。
この免税点の上限は、平成15年度の税制改正前は、3,000万円とされていたが、課税ベース拡大といわゆる益税(消費者の払った税金が事業者の手元にのこってしまうこと、いわゆる取り逸れ)解消のため引き下げられた。
この特例で、小さな商店などは急に消費税計算することとなり、迷惑な特例である。
簡易課税制度
前前期の課税売上高が5,000万円以下であり予め届出書を提出している中小事業者は、その業種に応じて、売上の何パーセントが仕入れであるかという法定のみなし仕入率を適用して仕入れに係る税額を計算する制度である。
按分計算でよいぞとお上が事務の簡略と選挙を考慮した特例であったが、この制度についても益税解消などの観点から、上限が2億円から引き下げられた。
業種についても多角経営の事業者は、時代によって 変化するため 、どれに該当するのか判断しがたく、問題となる。
この特例も引き下げで小さな金融機関や、そこそこの規模の業者は慌てて会計処理を変更することとなった。
限界控除制度
1997年3月31日まで設けられていた制度で、この制度も益税を招くことから廃止された。
中間納付制度
消費税は消費者からの預かり金的な性質を持っているが、これを預かってから納税するまでの運用益が事業者にとどまることに対する批判から、前課税期間の確定消費税額等により1月、3月又は6月ごとに中間申告・納税が必要とされている。
インヴォイスに関する意見
付加価値税には、流通の中間段階で業者がどれだけ付加価値税を受け渡したかを証明するインヴォイスの導入を望む意見もある。
かつて中曽根内閣時に検討された売上税では、当然のごとくインヴォイス方式が導入されていた。
税率が複数ある先進国をモデルにしたなら当然インヴォイス方式を採用するのが自然であろう。
付加価値税には、流通の中間段階で業者がどれだけ付加価値税を受け渡したかを証明するインヴォイスの導入が原理的には正確性を持つ。
これがないと納税義務者が租税回避行為を行うことが容易になる。
日本の消費税はインヴォイスが導入されていないので、導入した場合と比較して付加価値税の徴税の正確さが劣っている可能性が高い。
また、インヴォイスが導入されると法人税や印紙税の捕捉も容易になる。それは困ると思う納税義務者がいるかもしれない。
しかし、インヴォイス方式はその正確性の代償として事務処理の経済性が劣っており、それを導入するには議論の余地も多い。
ついでに、
廃止すべきである。
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