2015年10月 6日 (火曜日)

TPP交渉 あとはオバマの決断しだい

以下はキャノン研究所の山下一仁氏の意見である。

山下 一仁

 大方の見方によると、アメリカ議会が連邦政府に通商交渉の権限を与えた
TPA(貿易促進権限)法が定めたスケジュールでは、TPPが9月に合意すれば、
実質的な大統領選挙が始まる来年2月頃、アメリカ議会によるTPP協定の承認
が得られる。
それ以降にずれ込むと、選挙がらみの思惑によって、承認は難しくなる。
TPAに賛成した共和党の議員も、TPPは民主党政権の成果になるとして、
反対する可能性があるからだ。
その場合、TPP交渉はオバマ政権の次のアメリカの政権まで漂流する。


 TPP交渉の内容における課題は、7月の閣僚会合で3つに絞られた。

 1つ目は、バイオ医薬品の開発データの保護期間を12年と主張
するアメリカと、5年程度を主張する他の国との対立である。

 
アメリカは、自国の製薬業界の利益のために、長い期間を主張する。
他方、その他の国は、安いジェネリック製剤を開発して、できる限り
医療費を安く抑えたい。
データの保護期間が長くなると、その期間中はジェネリック製剤を開発
できなくなるので、できる限り短い期間を主張する。

 2つ目は、自動車の原産地規則である

 TPP域内産と認定されると、低い関税という優遇措置を受けられる。
どの場合に自動車を域内産と認定するかについて、域内で生産された
部品の割合を40%と低くして、できるだけ多くの車が優遇措置を受けら
れるようにしたい日本と、60%程度として多くの部品を域内で生産され
たものとしたいカナダやメキシコが対立している。

 3つ目は、ニュージーランドが要求している、乳製品
についての大量の無税の輸入枠の設定である。

 無理難題を要求していると甘利大臣から批判されているが、
本来TPPは例外なき関税撤廃など、高いレベルの協定を目指
していたはずである。

それがレベルの低いものとなってしまったのは、
日本が農産物について関税撤廃に応じなかったためである

 また、日米の農産物と自動車の協議の進展を各国とも待っていたので、
最後の段階になって無理な要求をするなという日米の批判は当たらない。

問題は、これらは超えられないハードルなのだろうかという点である。

 自動車の原産地規則については、40%と60%との間で妥協することは
容易だろう。

乳製品については、理はニュージーランドにあるが、
多国間協議の大勢がついた後、大国ではない国が最後まで自己の
主張を貫き通すことは、難しい。

結局、アメリカがバイオ医薬品の開発データの保護期間について譲歩
できるかにかかっている。

 確かに、アメリカの製薬業界の政治力は強力である。
強力なロビー活動を行っており、データの保護期間が十分確保できなければ
TPPに反対すると主張する議員もいる。
議会の承認を得たいフロマン米国通商代表は、この点について
譲歩できなかった。

 しかし、7年ほどの間、思ったほどの業績をあげられなかったオバマ大統領は、
後世に残る政権のレガシー(遺産)作りに必死である。

その大きなものがTPPだった。

そのためにオバマ政権は、TPA法案が議会で通過できるよう、

大統領自らが反対の民主党議員に説得工作をするなど、

必死で活動してきた。

 TPP交渉が合意できなければ、議会に提出すらできない。
オバマ政権でのTPP成立は不可能となる。
なんとしても合意しなければならないとすれば、医薬品のデータ

保護期間で譲歩してくるのではないか。

そもそも、医療支出を抑えたいオバマ政権は、長いデータ
の保護期間に反対していた。

 地政学的なイッシュー(問題点)もある。

オバマ政権はアジア・太平洋地域の重視政策(大西洋からの政策重点の移動、
リバランシング)を打ち出した。

 また、オバマ大統領自身、TPA法案の議会審議の際、
「TPPができなければ、中国がアジア・太平洋地域でルール
を作ってしまう。それでよいのか
と主張してきた。

アメリカには中国が主導するAIIB(アジア・インフラ投資銀行)にイギリス
など多数の同盟国が参加してしまったという、屈辱的な経験があり、
TPPが成立しなければ、アジア・太平洋地域でアメリカの影響が格段に
低下してしまうというおそれがある。

議会承認が来年に少しくらいずれ込んだとしても、11月の大統領選挙まで
かなり時間はある。

9月が無理でも、年内に妥結すればよいという気持ちになるかもしれない。

 日本にとってTPPのメリットは何なのだろうか

 WTO(世界貿易機関)の下ではTPP加盟国中4カ国しか解放していない政府調達が、TPP12カ国に拡大されるなどのメリットがある。

 WTO協定よりもより深いルールを作ろうとしている分野、また貿易と環境・労働などWTOが取り上げてこなかった分野もある。

 しかし、日本が農産物の関税維持にこだわったため、アメリカの自動車関税について、韓国車は来年撤廃されるのに、日本車は20年後にしか撤廃されないという、レベルの低いTPPとなってしまった。

 TPP交渉では、日本農業にほとんど影響のないようにしようと、日本政府は交渉しており、実際にもそのような形で合意されるようだ。

たとえば、牛肉については、38.5%の現行関税を15年かけて9%に引き下げるという。

しかし、為替レートは50%も円安になっており、これによる実質的な影響はほとんどない。
それなら国内農業はコスト削減による合理化をする必要はない。

 ないよりはましだろう程度のTPPになってしまった。

とても第3の矢の筆頭だと胸を張れるような代物ではない。

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飲食料品軽減税率の裏側にあるもの-慈愛のこもった日本の政治

 消費税を10%へ引き上げる際に、財務省は、飲食料品については2%を還付するという軽減税率の方法を提示した。酒をのぞく飲食料品には、8%の軽減税率が適用されることになる。貧しい消費者の人たちの"痛税感"を緩和するのだという。

 消費税については、"逆進性"が問題とされてきた。
"逆進性"という言葉を使わずに、"痛税感"という言葉を使う。

さすがに、政治家の人たちは言葉の使い方が上手だと感心した。
2%も税金をまけてくれるなんて、何て慈愛のこもった政治なのだろうと、日本という国に生まれたことを、つくづく幸せに思う。

 それだけではない。我が国の主食である米と麦については、特に、戦前から"食糧管理法"の対象として、政府は責任を持って、国民への安価で安定的な供給に努めてきた。

 戦後の食糧難の時代、高いヤミ値で食料を買えない国民にも、政府は配給制度によって、一定量を安く供給してくれた。50年以上も続いた食糧管理法が1995年に廃止されたのちも、政府は食糧法(「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」)によって、米麦の安定供給に努めてくれている。

我が国政治の慈悲深さ

 しかも、我が国の政治の慈悲深さは、消費者にだけ及んでいるのではない。飲食料品の生産者にも、あまねく及んでいる。

 主食である麦については、国産麦の生産者が国際価格よりも高い価格で製粉企業に販売できるよう、輸入麦についても100%近い課徴金を課して、輸入価格の倍の値段で製粉企業に売り渡している。

 それだけではなく、この課徴金で得られた約2千億円の収入は、生産者に直接支払われ、生産者の所得の確保に努めている。

 同じく主食の米については、4千億円の補助金を生産者に払って、生産を減少してもらう。

これで米価は上がるので、生産者は高い所得を得ることができる。

減反とか生産調整とか呼ばれ、40年以上も続けられている政策である。

 主食だけではない。バターは品不足になり、他の物資に先駆けて値段が上昇し、デフレ脱却に大きく貢献している。バターの国際価格は低迷しているので、輸入をすれば、国内価格を引き下げることは可能だ。

しかし、それで牛乳や乳製品の価格が下がると生産者は困るので、政府は出来る限り輸入しないようにしている。

 TPP交渉でも、米、麦、乳製品だけでなく、砂糖や牛肉・豚肉についても、関税によって、国内の高い価格を守ろうとしている。

飲食料品に軽減税率を適用すべきだと強く主張した政治家の人たちも、このような生産者保護の方法を維持することは、国益だと主張している。

 日本の政治は、生産者にも優しい、慈愛のこもった政治なのだ。

 しかし、このとき消費者はどうなのだろう。

国の予算をいくら調べてみても

 飲食料品に軽減税率を導入してくれた、消費者に優しい政治は、米、麦、乳製品などの価格を引き下げてくれているはずである。

 減反や関税で引き上げられた飲食料品価格の上昇分は、今回の飲食料品の軽減税率と同様、国民・消費者に還付してくれているはずである。

 しかし、そう思って、国の予算を調べても、そんな還付金はどこにも計上されていない。

 

米は、2年前の減反見直しで、主食として作ってきた米を家畜のエサに向けるための補助金を大幅に積み増した。10アール当たり、主食用の販売収入7万円を大幅に上回る10万5千円が生産者に交付される。

 生産者としては、主食用に米を作るよりもエサとして作った方が有利なので、今年エサ用の米の作付けが大幅に増加した。

この10年以上、減反目標は達成できなかったのが、今年はおつりがくるほど達成された。

米の値段はまた上がる。

 減反がなかったとした場合の米価は60キログラム当たり7千5百円程度である。

それを4千億円の税金を投入して、1万3千円位に引き上げる。

米価の引き上げ幅を率にすると73%、消費者の負担総額は6千億円。40年もの間、国民は納税者として消費者として二重の負担をしてきた。
トータルすると、1兆円、100%超の税負担に相当する。
麦、乳製品にかかっている関税や課徴金は、100~200%である。

 つまり、政府は、米麦などの生産者保護のために、国民に高い米、パン、うどん、バターなどを食べさせてきたのである。

 10%の消費税を2%まけることが、"痛税感"の緩和につながるという政治家の人たちは、この100%を超える農業・食料品政策の"痛税感"に、何をしてくれるのだろうか?

  • キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)
  • 以上はキャノン研究所の山下一仁氏の意見である。


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2015年9月28日 (月曜日)

日本における農政と持続可能な発展

日本農政の主要目標は、農家所得を高く保つことだ。
しかし、これはおよそ的を得た目標ではない。日本では多くの農家が兼業農家であり、耕作規模が非常に小さく農業収入の割合も小さい。
しかし勤労者世帯よりも所得が多い。主業農家は生計を立てるのにやっとだ。
しかし減反政策による高米価は、兼業農家をコメ産業に滞留させてきた。
それゆえ主業農家にとっては、農地を確保して規模を拡大し、コストを下げて所得を増やすことも困難になった。

農林水産省は食料安全保障と 「多面的機能」 の名の下にこの政策を正当化してきた。
これらは農家所得向上よりも理にかなっている。
しかし現実には、日本農政が食料安全保障と 「多面的機能」 を損なっている。

日本農業の 「多面的機能」 のほとんどは、水田が発揮する。
「多面的機能」 は、水田稲作がもたらす正の外部性であって、その保全には水田にコメが植えられなければならない。
しかし現在では、米価支持のために減反政策によって4割もの水田を減反している。
米粉・エサ用米の作付けの補助金を増額する新たな減反見直し政策は、コメ作付けは増えるかもしれないが、コストがかかりすぎる。それどころか、この政策は食料自給率向上の真逆をいく。

1970 年からこの減反政策で 340 万ヘクタール中 100 万ヘクタールの水田が失われた。
それらは約 3 千年間続いた水田であり、そのような広大な面積をなくすのは、ムダそのものである。
これが日本の食料安全保障を危うくしている。

WTO 枠組みにおいて、日本はコメなど重要品目への高い関税を維持したいがために、関税率の維持の見返りとして低税率の関税割当数量の大幅拡大を主張した。
この意味するところは、高い関税率によって国内価格が維持されるならば、食料自給率は低下してもよいということだ。

日本の農政の本当に意図することは、法や公式文書に書かれた政策方針にはないようだ。
減反は、戦後農政の中核のひとつである。
この強固な岩盤を見事に打ち破ることができるかどうかで、日本農業の未来がかかっていると言っても過言ではない。

高関税で国内市場を守っても、農業は衰退した。
高齢化と人口減少で国内市22場も縮小していく中では、輸出市場を開拓しなければ、日本農業に未来はない。

輸出を拡大するには相手国の関税は低い方がよい。
農業界こそ、貿易相手国の関税を撤廃し輸出を容易にする TPP などの貿易自由化交渉に積極的に対応すべきなのだ。

農業生産を縮小ではなく、拡大に転じることで、世界で高まる食料需要に対応でき、開発国の貧しい人々の食料品価格の負担をやわらげることができるだろう。
農業生産を維持しつつ農業資源も保全できる。
そして日本だけでなく、世界の食料安全保障に大きな貢献するだろう。

ベトナムやタイからコメを輸入しつつも、コシヒカリのような高い付加価値のある農産物を輸出すれば生き残ることは可能だ。
日本は途上国に市場を開き、その持続的な発展を強化することができる。

しかしながら日本は、開発国を含め TPP 参加国に向けた農業市場開放に消極的であり、日本への農産物輸出機会を奪っている。

くわえて、日本が関税撤廃に数多くの例外を要求するれば、 TPP 交渉のほかの領域で、国有企業のルールや規律など他国も例外を要求するようになる。

それは世界の貿易システムに大きな貢献を果たすだろう TPP 合意の意義を薄め、おもに開発国の TPP 参加を通じた経済構造改革を妨げることになるだろう。

続きを読む "日本における農政と持続可能な発展"

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2015年3月30日 (月曜日)

山下一仁さんがNHKから外された??

農政はデタラメな状態である。
直ちに減反廃止し、耕作農家にEU,USのように補助金を直接支払いすればいいのに、なぜしないのか?

長州のドンはJA改革したとうそぶいている。

昭和31年の第1次農業改革にあたって、農家の代表と話し合う必要ができたので、全国農業会議所(農地法を死守し、昔の栄華よ再びと願った国家集団)が無理やり昭和29年に全中を作り、会議所の下位メンバーに加えた。
その全中を潰して喜んでる様はいとおかし。

首吊り自殺したとされた?中川一郎氏が浄土から観ていますよ。

さらに、息子の中川昭一氏は酩酊状態で記者会見した咎で辞職し、間もなく家で倒れ死亡。
酩酊状態なら記者会見は回避するのが常識でなのに財務省の役人は無理やりやらしたとしか考えられない。
しかも、回避するという判断が賢明かつ酒豪の中川大臣ができないほどの状態というのは不自然である。

G20前にUSから国債を押し売りにきたのを、決然とNOと言った直後の事件である。
大臣についていって、判断を失った大臣を無理やりマスコミの前に晒した役人は帰国後USへ栄転して国外へ消えた。

昭一氏の奥さんがキスしていたのは復讐ではないのかしらん。
そんな疑問を抱いても不思議ではない呪われた中川家の出来事である。

委員会で謝って終わり、与党は未亡人を引きずり下ろさないのも不可思議である。

NHKラジオ「今日の経済展望」のメンバーがかなり増員し30名となった。
そんな中で、衆議院の公聴会で正論を吐いた山下氏が外された。

3月3日の放送「農業と農政の課題」を読まれたい。

ついでに、山下氏の最新リポート  WEDGE Infinity に掲載(2015年3月20日付)も読んでください。
    「農協栄えて農業衰退」からの脱却を-農協改革をこれで終わらせてはならない-

2030年の減反廃止では遅過ぎる。

選挙のための補助金を止めれば、消費税で落ち込んだ景気も米価の引き下げで持ち直す可能性もあるのだから。

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2015年2月 3日 (火曜日)

農協改革は農民、国民のために必要だ

結論から言おう。

JA全中が一般社団法人となれば強制監査がなくなり、
また、全農やホクレンなど連合会を株式会社化すれば、独占禁止法の対象となるので、
コストが低下する。
販売も自由にできるようになる。

減反を廃止して価格低下補填は直接農家に払う。
よって、農家の所得は向上する。
農産物価格が安くなれば、消費者は安く買える。
落ち込んだ景気もかなり上向く。
農協改革は、農家だけではなく、国民・国にとっても必要なのだ。


監査については、ボトムアップ組織の生協には、全国連合会による強制監査などない。
また、農協は、公認会計士又は監査法人による外部監査は、組合員を抱える農協向きではないと言っているが、生協の外部監査は、公認会計士又は監査法人によるものであり、特段不都合があるとは聞いていないのだ。

マスコミで、JA越前たけふが、全農を通じないで、肥料を購入したら、3割も安くなったという内容が流されている。
しかし、上位のJA 組織から、相当な締め付けを受けたと、マスコミで言っていた。

組合長は経営者でなければならないが、かつては名誉職であった。
無給だった期間があり、なんでも上の組織のいいなりに従っていれば、経営が危うくなった時には救済してくれるので、自らは考えない癖がついてしまった。
お役所仕事になってしまった。

さらに、農政が農家を法や規則で縛り上げ、自由を奪っている。

農業は自然と共に自由に国の基を果たす仕事なので尊い、と街のロハス好きは思っていたら 大間違いです。
国やJAに気を使い、オドオドしているのです。


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2015年1月28日 (水曜日)

今年こそ 国の本たる農業 を

キャノングローバル研究所の 山下一仁 主幹の記事を参考に書いてみました。

農業問題は
今年も、TPP交渉、農協改革など、大きな課題があります。
 
まず、"農政の目的とは何か"ということを明確にしてください。

"農家所得の向上"を強調し、農協改革も、"農家所得の向上"の観点から検討すると主張している。
国民の食料費支出94兆円のうち、80兆円が農業以外の産業の取り分となっているので、農家が周辺産業まで進出することによって農業(農家)の取り分を増やすべきだとも主張している。

 しかし、はたして"農家所得の向上"が農政の目的なのでしょうか?
シャッター通り化した中小の商店主など、農家よりも困っている人はたくさんいます。
また、ある産業の収益性が低下するのであれば、かつての石炭や繊維のように、他の産業に労働者や資本を円滑に移転する政策をとればよく、当該産業の維持やその産業従事者の所得向上のために政策を講ずべきだという議論は行われません。

それなのに、なぜ農家だけが特別に所得を保障されなければならないのでしょうか?

もし農家の所得を保障・向上しなければならないとすれば、食料安全保障を考えているのでしたらナンセンスとしか言いようがありません。
私もかつて食料安全保障を考えておりましたが、資源のない日本でいざという時どうやって農作業をするつもりなのでしょうか。手作業でやるつもりなのかしらん。
 
昨年の米価低下に対して、農業界では、政府が市場に介入して米価を高く維持すべきだという主張が強まっています。
しかし、全農が米の供給を意図的に減らし米価の値崩れを防いだため、古米が溢れ米価低下になったというのに選挙前に農民票狙い以外で、本気で考えているのだったら寂しい限りである。

しかし、消費税の引上げが貧しい消費者の家計に影響を与えるという理由で、米などの食料品には軽減税率(私は反対です)を適用するという方向が固まったのに、米価を上げてよいのでしょうか?
米価が下がったことは、貧しい消費者の人たちにはよかったのではないでしょうか?
さらに、景気減速の原因にもなっていると言わざるをえません。

これまでの農政には、国民への食料の安定供給という大本が忘れられてきました。

農家に4,000億円の減反補助金という納税者負担を行って、米の供給を制限し、米価を吊り上げて6,000億円の消費者負担を強いるなどという、とんでもない政策が、長年続けられてきています。

また、国際価格よりも高い米などの農産物価格は、高い関税で守られてきています。
消費税の引き上げが逆進性を高めるというのであれば、これまでの農政は、逆進性の元祖、本家のようなものです。

 1900年に農商務省に入省した柳田國男は、関税を導入し、米の輸入を抑制することで高い米価を実現しようとした地主勢力に対し、消費者や労働者のことを考えると、安い輸入米を入れてでも、食料品の価格を下げるべきだと主張しました。

農家の所得を向上するなら、米価を上げるのではなく、生産性を向上させて、コストを下げるべきだと主張したのです。

 小作人解放に尽力した石黒忠篤は、農林大臣として農民を前に
「農は国の本なりということは、決して農業の利益のみを主張する思想ではない。所謂農本主義と世間からいわれて居る吾々の理想は、そういう利己的の考えではない。国の本なるが故に農業を貴しとするのである。国の本たらざる農業は一顧の価値もないのである」
と諭しています。

"国の本たる農業"とは、国民・消費者に食料を安く安定的に供給するという責務を果たす農業でした。

 米価が下がっても、農家所得に占める農業所得の割合が極めて低い兼業農家は、影響を受けません。
私も立派な第2種兼業農家です。 農作物を作るのは近所の農家に迷惑をかけてはいけないから一番労力のかからない米を栽培しているのです。もちろん、赤字ですが、田んぼを数年放棄しておくと水田として適さなくなるのです。

影響を受ける主業農家には、農産物価格を高くするのではなく、アメリカやEUのように、財政から直接支払いを交付するという方法があります。

農家は保護され、価格は低くなるので、消費者も利益を受けます。

 昨年バター不足が問題とされました。しかし、国際市場ではバターは過剰で価格は大幅に低下しています。
そのバターが、なぜ国内市場では不足するのでしょう?なぜ、安いバターが入ってこないのでしょうか?

 それは、バターについては高関税によって民間の輸入は事実上禁止されており、低い関税の輸入枠も、農林水産省の指示を受ける国の機関(独立行政法人農畜産業振興機構)が一元的・独占的に輸入しているからです。

農林水産省は、国内の乳製品需給が緩和し、価格が低下することを恐れて、なかなか輸入しようとはしないし、輸入する場合でも最小限の量しか輸入しないため、必要な量が必要な時に国内市場には輸入されません。

関税などがなくなることで、酪農家が苦しくなるのであれば、国からの直接支払いを増額すればよいのです。

 農政の目的が国民への食料の安定供給なら、TPP交渉への対応も簡単です。
農産物・食料品への"関税"を廃止して、直接支払いに転換することです。

 農協は協同組合であるという理由で独占禁止法の適用除外を受けてきました。
このため、全国組織の全農や北海道のホクレンなどは、肥料・農薬、機械、飼料などの資材を高く農家に売りつけてきました。
農協以外から資材を購入すれば共同出荷停止処分や、毎年農協から種もみを買わないとカントリーの利用禁止処分が農家にされるのです。
農家のための農協ではなく、逆です。
よって、コストが高くなるので、農産物・食料品の価格も高くなります。
その高い価格を維持するために、関税が必要となりました。

政治組織である全中(減反政策の米価交渉運動の旗手です)に関する規定を農協法から削除して、高い米価、高い関税を維持するよう運動してきた、農協の政治力を削ぐことも重要です。

全農やホクレンを株式会社化して、独占禁止法を適用すれば、農産物価格は下がります。
しかし、農家にあぐらをかいていた全農は赤字経営になるでしょう。

 農政の目的を国民への食料の安定供給と定め、"国の本たる農業"が実現できるような農政を展開してほしいと思います。

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2014年12月 9日 (火曜日)

日本の農業を破壊したのは誰か?

結論
農家自身の目先の欲望である。
それを指導し・扇動した国やJA等が加担している。

 戦前の農業・農村を支配した地主制も、当初は真剣に農業振興に努めましたが、やがて寄生化し、戦後の農地改革で解体・消滅しました。



戦後、地主制に代わり農業・農村を支配した農協制についても、同じような経過を感じます。農協は脳狂にいつしか変貌した。

農業を発展させることを期待された農協が、農業の衰退の原因となった。


利用者である組合員が主人公であるのに、組合員は逆に農協に支配されている。

元来、組合員が安い資材を購入するために作ったはずの農協によって、組合員は高い資材価格を押しつけられているのが現状です。


農協以外で肥料を購入した組合員は農協から出荷できないような罰則を設けたりするのは独禁法違反ではないでしょうか?

さらに、農家以外の准組合員や員外者の利用が拡大し、農業以外の信用・共済事業が大宗を占めるようになってしまいました。


農家は兼業農家となり、農協は不特定多数を相手とする信用・共済事業で発展するなど、いずれも脱農化することで繁栄しました。
農協は、もはや「農業」のための組織でもないし、「協同組合」ともいえません。
様変わりしてしまったのです。

そもそも全中などの中央会制度は、当初から農協法に規定されていたわけではなかった。



戦後の農協設立によって冷や飯を食べさせられていた戦前の農会系統の人たちの帝国農会復活の夢が、現在の農業委員会系統の全国農業会議所 (http://www.nca.or.jp/about/index.html)(天下りの巣窟?)」

として実現する際に、
これに好意を持たない農協系統の人たちをなだめるために、戦前の産業組合中央会を農協法のなかに中央会として復活させたのだらう。


つまり、戦前      
の団体間の怨念が、農協法のなかの中央会規定となったのであり、遠い過去の遺物である。

Img01
   
       全国農業会議所  (クリックで拡大)
農協はTPPに参加すると日本農業は壊滅するとして、大規模なTPP反対運動を展開している。



しかし、野菜など既に関税が十分低く、TPPによって全く影響を受けない農業セクターは、農業産出額の半分以上を占めている。



最も影響を受けると農林水産省が試算しているのは、構造改革が最も遅れた米である。



しかし、米の減反を廃止すれば、米価が下がるうえ、これまで抑制されてきた単位面積当たりの収量が増加し、コストは下がる。


さらに主業農家に直接支払いを行って地代負担能力を向上させれば、規模拡大によりコストは一層低下し、関税ゼロでもやっていけるどころか、大規模な輸出も可能になる。



価格が下がっても直接支払いを行えば、農業、農家に影響はない。

しかし、販売手数料収入が農産物価格に応じて決まる農協は、価格低下の影響を受ける。
これまで、主業農家も兼業農家も等しい発言権を持つ農協は、農業の競争力を高めるための担い手育成や規模拡大などの構造改革に反対してきた。


しかし、高い関税で国内食用農産物市場を守っても、それは高齢化・人口減少で、どんどん縮小していく。


日本農業を維持振興していくためには、海外の輸出先市場の関税撤廃などを求め、TPPなどの貿易自由化交渉に積極的に参加していく必要がある。


そのためには、農協が、農業の構造改革に反対しないよう、制度面、組織面で、改革を行う必要がある。

農業就業者が大幅に減少するのに、なぜ「農協」は組合員が増加し続け、日本第二の"メガバンク"として繁栄しているのか.?

特定の利益が国の政策を歪めてきた点で、農業は電力会社の比ではない。


これらは、「食料自給率の向上」などの巧妙なプロパガンダを通じて、国民生活に欠かせない食料についての不安をあおり、TPP反対の論拠とされてきた。

 
村8分を利用した農政で、手足ををがんじがらめに縛っておいて、自由にしろと言いながら、今になって自己責任回避をする農政が正しいとは思えない。


無責任もほどがある。

これまで農業の発展を阻害してきた農業村と農政をあらためなければ、日本の農業の発展はない。
 
百姓一揆をやりませんか??

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2014年5月18日 (日曜日)

ジョウロを買い替えた

園芸用・農業用の如雨露(じょうろ)が壊れたので新しいのを買いました。
滅多に使わないので安物でもいいのだが、プラスチックはダイオキシンを防ぐため塩素が入っていないポリ製品が主流だ。


塩素が入っていない物は紫外線に弱く、直射日光を避けるため使用後は陰で保管して下さい。

下のタイプが多く使われています。

6l581yen

        日本  プラで 581円 6L は安い
金属製で薬品に強く、長持ちする物がいいが、金属製で大容量は重くなるので5Lあたりが限界でしょう。

ブリキ、銅、真鍮、ステンレスが素材となろう。

アルミは軽いが弱く、チタンは加工が面倒で高額すぎて売れないだろう。ただ、チタンコーティングしたものはある。


農家は10Lクラス程度の大きさが欲しいが商品が少なく園芸用が主流だ。

HAWS社の厚くて柔らかさのあるプラスチック製の6Lを¥4,400.で買った。
イギリス製でつかいやすいのですが、高級感はない。

Haws4320             これを買いました

68388yen         本当は真鍮(¥8800)か  (秤の大和の製品 6L)

Haws_34l17280yen         HAWS社のチタンコーティン 3.4L(¥17800)         

Haws_1864_90l_ttm_15549yen          HAWS社のチタンコーティング 9L(¥15600)

が美しく長く使えそうだったが、値段が高く、容量も小さいので諦めました。
趣味で園芸をやってる方は美しいモノを周りに置くことをお勧めします。

人生を少しでも楽しくするために
 

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2014年5月 9日 (金曜日)

農業の多面的機能とは?

新聞記事の解説を転載します。

農水省HPにも載ってますが、霞ヶ関文学は読んでも解りません。


日本型直接支払い」って? 農業の多面的機能支える

熊本日日新聞 2013年11月18日

 前回の「知り隊」では、5年後にもコメの生産調整(減反)を廃止するという政府方針の意味を考えました。狙いは環太平洋連携協定(TPP)を見据えた農業の競争力強化。では農業に求められているのは競争力強化だけでしょうか? 農業は農産物を生産する産業であることに加えて「多面的機能」があるとされます。政府は、この多面的機能を維持する補助金を拡充する、新しい「日本型直接支払い」の創設を打ち出しています。今回の「知り隊」で迫ります。(太路秀紀)

 まず押さえておきたいのは農業が持つ「多面的機能」とは何かです。「食料・農業・農村基本法」では「国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承」などだとされています。阿蘇をイメージすると分かりやすいでしょう。

 阿蘇の水田や畑は、大量に降った雨を一時的にたくわえます。雨水が時間をかけて白川下流へと流れることで、熊本市などでの洪水発生を抑えます。熊本都市圏で水道に利用される地下水も、阿蘇や白川中流域の水田などから水がしみ込むことで生まれます。

 阿蘇には毎年1700万人前後の観光客が訪れます。しかし水田や畑が雑草で覆われ、農業で維持されている草原が森になれば観光客も減るでしょう。農業をする人がいなくなれば、「火たき神事」など、国の重要無形民俗文化財である阿蘇の農耕祭事も伝承が難しくなります。

 多面的機能は経済的評価が難しいですが、日本学術会議が2001年、農業の多面的機能をお金に換算したことがあります。農業の洪水抑止機能をダムに置き換えた場合などを考えて、その価値は年間約8兆円となりました。

 「日本型直接支払い」の考え方は、国民の多くが恩恵を受ける農業の多面的機能を税金で支えることです。産業支援の政策ではなく、農村地域を支える政策であり、対象には山間地の農家や経営的に弱い農家も含まれます。

 日本型直接支払いの政府案では「農地維持」と「資源向上」(ともに仮称)の2種類の補助金を検討しています。

 「農地維持」は農地の管理を支援。集落で行う水路の泥上げや農道の草刈りなどに対し補助をします。現在も「農地・水保全管理支払」という補助金がありますが、主に水田に対する補助。「農地維持」では畑や、家畜の放牧に使われる草地なども対象にします。補助金は集落に払われますが、集落が農家に支払うことも可能になりそうです。

 「資源向上」は先ほどの「農地・水保全管理支払」を衣替えし、農地の防災機能を高めたり、農村の環境を良くする活動を支援します。水田のあぜや水路の補修、地域に花を植えたりする活動です。農家以外の地域住民らも参加することが条件になります。

 財源には、減反参加農家への補助金を減らして浮く約1千億円の一部を充てる計画です。「補助金ありき」ではなく、多面的機能の維持に本当に必要な活動を支援できるかどうかが、ポイントになりそうです。  熊本日日新聞 2013年11月18日

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農業は自然に任せておけばいい

農業に効率化を求めてはいけなかったのに人は科学を振りかざして無謀にも挑んだ結果、人の欲望が叶えられ毎日肉を食べることを可能にした。人は科学万能主義に酔いしれた。
密集させて飼育することによって、運動不足の太った鳥や豚や牛の肉が食べられるようになった。
明らかに自然の動物の生活と異なる環境でホルモンや殺菌剤、抗生物質の入った飼料を無理矢理食べさすこと(脳の満腹中枢を麻痺させる)によって、短期間で肉が出来る仕組みを作った。
そうした畜舎に入るには、全身をまとう服装で消毒して人が入らなければならない。病気を恐れてのことであるが、これはあまりにも異常な状態と言うべきでしょう。
肉1Kg作るのに必要な飼料は、鶏で3Kg、豚で6Kg、牛で9Kg必要であるとの報告がある。
エネルギー変換効率が悪く、大豆などに比べコストもかかるため、肉を取った後の残骸物である肉骨粉をえさに混ぜだした。いわば、共食いである。ほとんど同じ遺伝子をもつものを食べることは遺伝子のDNAを狂わせ、1986年狂牛病が発生した。
一度発生し広まったものを絶滅させることは不可能である。
肉を食べるなら狂牛病や鶏・豚インフルエンザに怯えながらいただいてください。
アメリカでは、抗生物質の使用量が、 家畜の飼料に12,000ton使われているそうだ。
肉や糞尿に残り、人の身体や地下水を汚染し続けている。
その後の連鎖反応がどうなるのかまでは知恵が回らないまま、人が手をつけてはいけないサムシングエルス(神)の領域に踏み込んだら、後は悪魔のスパイラルになりそうな気がするのです。

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